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和英翻訳コンテスト Testing Translation 高校生特集」結果発表

The Yomiuri Shimbun

A yoga event at Tokyo Skytree in Tokyo’s Sumida Ward

The Japan Newsジャパン・ニューズがこの夏に募集した、高校生対象の和文英訳コンテストの結果を発表します。課題文は、スカイツリーで行われたヨガのイベントに関するものでした。国内外から届いた力作の中から、優秀に長野県伊那北高校2年の飯島彩夏さんが輝きました。

ここでは、飯島さんの優秀作品や、佳作及び努力賞入選者名のほか、出題した課題文とジャパン・ニューズ記者による講評、訳例を掲載します。講評を参考に、間違えやすいポイントなどを学習して、さらなる英語力アップを目指しましょう!

★入選者

【優秀】

飯島彩夏(長野県伊那北高校2年)

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  • The Yomiuri Shimbun

【佳作】

並木真衣(東京女学館高校2年)、大浦晏奈(東京学芸大学附属国際中等教育学校・高校1年)

【努力賞】

竹中智咲(横浜雙葉高校3年)、荒井公佳(東京・共立女子高校3年)、岩井渚沙(大阪府立大手前高校1年)、東島茜(奈良県・聖心学園中等教育学校6年)、津久井南帆(埼玉県立浦和第一女子高校2年)

★課題文

「夏至」を迎えた21日、東京都墨田区の東京スカイツリーで、早朝からヨガのイベントが開かれ、高さ450㍍の「天望回廊」や350㍍の「天望デッキ」で参加者約80人がヨガのポーズをとった。

この日は国連が定めた「国際ヨガの日」。夏至は1年で最も昼の時間が長いことから、自然との調和を重んじるヨガの世界では特別な日とされていて、2014年12月に採択された。

あいにくの小雨交じりの空模様で朝日を望むことはできなかったが、千葉県我孫子市から参加した男性会社員(54)は「遠くまで見渡せるすばらしい景色の中、普段とは違う開放感でリラックスできた」と満足そうだった。

(読売新聞東京本社6月21日付夕刊12面)

*課題文は原文と一部異なります

★〈優秀〉

飯島彩夏

A yoga event was held in Tokyo Skytree in Sumida, Tokyo from the early morning of June 21, the summer solstice. About 80 yogis did some yoga stretches at Tembo Galleria and Tembo Deck, which are both observation decks of Skytree and are 450 meter high and 350 meter high respectively.

The day was International Yoga Day set by UN in December, 2014. Since the summer solstice is the longest day of the year, it is regarded as a special day in Yoga because it values harmony with nature.

Although the morning sun was not visible due to the drizzle, a 54-year-old male office worker from Abiko, Chiba looked satisfied saying, “I felt freedom I never felt before and relaxed enjoying the lovely distant view.”

(原文のまま)

★講評 ジャパン・ニューズ記者 桜井陽介

 今回の Testing Translation は、応募資格を高校生に限定した特別企画「高校生特集」です。今回はジャパン・ニューズのウェブサイト上でも告知したこともありオーストラリアや中国など海外からも作品が寄せられ、応募総数は36通でした。残念ながら最優秀に該当する作品はありませんでしたが、最終選考まで残った作品はどれも力作ぞろいでした。優秀作品はリードパラグラフ(記事の書き出しのパラグラフ)が読みやすく、全体の流れもスムーズな点を評価しました。

 課題文は、夏至の日の6月21日、東京スカイツリーで行われたヨガのイベントを伝える記事でした。内容は易しいと思われましたが、慣れない新聞記事の英訳ということで、思いの外苦労したという感想を多くいただきました。それでは詳しく見ていきましょう。

ポイント① 情報を整理して読みやすく

 第1段落を読んでまず感じるのは情報量の多さではないでしょうか。原文の一つのセンテンスの内容をもれなく翻訳することは大切ですが、それをすべて1つの文章に押し込む必要はありません。普段の Testing Translation の講評でもたびたび触れていますが、優れた翻訳に求められるのは読み手が意味を容易に理解できる無理のない長さです。上位入賞者はどれもこの点を踏まえてさまざまな工夫を凝らしていました。訳例では、リードパラグラフで「大勢の人々が夏至の日の21日(火曜日)に東京都墨田区の東京スカイツリーで早朝からヨガイベントを楽しんだ」と事実を簡単に述べておき、続くパラグラフで「参加者約80人が高さ450㍍の『天望回廊』、350㍍の『天望デッキ』でヨガのポーズをとった」という構成にしています。「夏至」を単に geshi とした応募作品もありました。後段で「1年で最も昼の時間が長い」という説明があるものの、やはりここは summer solstice と訳すのが適切でしょう。また「『夏至』を迎えた21日」の「迎える」ですが、あまりこの言葉にこだわらず Tuesday, the day of the summer solstice(夏至の日の火曜日)とすれば十分でしょう。つい、出てくる言葉一つひとつを英語に置き換えて並べてしまいがちなのですが、必ずしもそうする必要はありません。大切なのは読みやすさです。

ポイント② 高さ450メートル?

 ちなみに「天望回廊」と「天望デッキ」ですが、訳例では東京スカイツリーのウェブサイトを参考に、それぞれ Tembo Galleria、Tembo Deck としました。それぞれが「展望デッキ」であることを明確にするために observation deck と言い換えて説明しています。ただし、応募者の中には授業でこの課題に取り組んだり、必ずしも身近にインターネット環境がなかったりした方がいる可能性も考慮し、正式な英語名称以外でも可としました。

 注意したいのは「高さ450㍍の『天望回廊』」と「350㍍の『天望デッキ』」のくだりです。これは東京スカイツリー(高さ634㍍)の地上450㍍、350㍍にそれぞれ設置されている展望デッキを指します。例えば Tembo Galleria, 450 meters high (tall) などとしてしまうと展望デッキそれ自体の高さが450㍍もあると読めてしまいます。正確を期すため訳例では 450 meters above the ground と「地上」という言葉を補足しています。優秀となった作品はこの点が惜しまれるところでした。

 第2段落では「夏至は1年で…2014年12月に採択された」の長い文章の処理が悩ましいところです。リードパラグラフ同様、ここは「夏至は1年で…特別な日とされている」「2014年12月に採択された」と2つに分けた方が自然でしょう。「夏至は1年で最も昼の時間が長い」は、訳例では it (the summer solstice) is the longest day of the year としました。この場合の day は daylight(昼間)という意味です。the day of the year with most hours of daylight と言い換えることも可能です。「自然との調和を重んじるヨガの世界」は訳例の他、yoga which values (emphasizes) harmony with nature などと表現してもいいでしょう。次の「2014年12月に採択された」ですが、ここも若干の補足が必要で、調べたところ採択されたのは6月21日を国際ヨガの日に指定する国連決議ということでした。従って訳例では主語を a U.N. resolution(国連決議)としています。ただし原文からここまで読み取ることは困難と思われますので、単に designate(指定する)、proclaim(宣言する)などを使って、The International Day of Yoga was designated (proclaimed) in December 2014 とした作品も可としました。

ポイント③ we や I は避ける

 最終段落です。「あいにくの小雨交じりの空模様で朝日を望むことはできなかったが」では、応募作品の中には主語を we にして We were not able to see … としているものもありましたが we を使うと現場にいる記者も含まれることになり不自然な印象を与えます。通常、署名入りの解説コラムやルポルタージュのような記事以外では we や I などの使用は避けています。また「あいにくの」は、正確には「小雨交じりの空模様」に掛かっていますが、unfortunately を用い Unfortunately, the morning sun was not visible(あいにく朝日を望めなかった)としても間違いとまでは言えないでしょう。「普段とは違う開放感」の「開放感」は a sense of openness (freedom) などが適訳です。「普段とは違う」を unusual としてしまうと「変わった」、「異常な」というニュアンスを伴ってしまいます。

ポイント④ ケアレスミスを防ぐために

 どれだけ英訳が上手に仕上がっていても事実関係に誤りがあると、記事全体の信頼性が損なわれます。今回の課題文では数字や地名で間違いが散見されました。ケアレスミスを防ぐには提出前に何度も見直すことが大切です。また友人と作品を交換してお互いにチェックしあってみるのも効果的でしょう。

 筆者自身、日々の翻訳やこうしたコーナーで大勢の方の応募作品を拝見するたびに新しい発見があり、和文英訳の奥深さを痛感しています。夏休みを使って今回応募された高校生の皆さんも苦労はしながらも、楽しんで取り組めたのではないでしょうか。ジャパン・ニューズでは誰でも参加できる英和/和英コンテストを毎週実施しています。ご応募お待ちしています!

★講評者の訳例

Many people enjoyed a yoga event at Tokyo Skytree in Tokyo’s Sumida Ward early Tuesday, the day of the summer solstice.

About 80 participants performed various yoga poses at the Tembo Galleria, an observation deck 450 meters above the ground, and the Tembo Deck, another observation deck at 350 meters.

Tuesday marked the U.N.-designated International Day of Yoga. In yoga, which puts high value on harmony with nature, the summer solstice is considered special because it is the longest day of the year.

A U.N. resolution to designate June 21 as the International Day of Yoga was adopted in December 2014.

The morning sun was not visible due to the ill-timed drizzling rain, but a 54-year-old male company employee from Abiko, Chiba Prefecture, seemed happy with the event. “I was able to relax thanks to a sense of openness, which was different from what I’m used to, with a wonderful view that allowed me to see a great distance,” the man said.

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