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Leaders on the Podium /トランプ氏の対極を語ったザッカーバーグ氏

AP file photo

In this June 21 photo, Facebook CEO Mark Zuckerberg speaks in preparation for the Facebook Communities Summit in Chicago.

中山俊宏今年も、数多くの著名人が学位授与式に招かれスピーチを行った。commencement speech(学位授与式演説)については、2014年6月12日の本コラムでも取り上げたことがある。今年5月13日、トランプ米大統領も、キリスト教保守派のジェリー・ファルウェル牧師が1971年に設立したリバティ大学でスピーチを行った。バージニア州リンチバーグにあるこの大学は、evangelical(福音派)の大学として最大規模を誇り、キリスト教保守派にとっては特別な場所である。

ファルウェル氏は、キリスト教と政治活動をリンクする Moral Majority(モラル・マジョリティ)という団体を1976年に設立し、黎明(れいめい)期のキリスト教保守派を支えた指導者の一人。2007年に没したが、息子のジェリー・ファルウェル・ジュニア氏が学長の地位を引き継いだ。

トランプ氏は、昨年の大統領選の際にもリバティ大学で演説した。キリスト教保守派の信頼を勝ち取るには、打って付けの場だったというわけだ。

今年は、大統領としての凱旋(がいせん)という形になった。スピーチそれ自体は、いつもの「トランプ節」、いわばトランプ流のナショナリズムの表明であり、その担い手になるよう、卒業する学生たちに強い口調で呼びかけた。“We must always remember that we share one home and one glorious destiny, whether we are brown, black or white. We all bleed the same red blood of patriots. We all salute the same great American flag. And we are all made by the same almighty God.”(私たちは、肌の色が褐色だろうが、黒かろうが、白かろうが、一つの家と輝かしい運命を共有していることを忘れてはならない。私たちはみな愛国者の赤い血を流す。偉大なアメリカの国旗に敬礼をする。そして、全能なる神によって創造されたものである。)「赤い血」と「愛国主義」をつなげたあたりは就任演説そのままだ。

約二週間後の5月25日には、フェイスブック CEO のマーク・ザッカーバーグ氏が、ハーバード大学に招かれ、スピーチを行なっている。それは、トランプ氏を直接意識した演説のようにも聞こえた。ハーバード大学を中退したザッカーバーグ氏は、自らを皮肉るかのように、この演説を無事終えることができれば、この大学で初めて自分が何かを成し遂げたことになる、と冗談をまじえながら、「トランプの世界」とは対極の世界について語り始めた。

ザッカーバーグ氏は、コミュニティ再生の必要性を説く中で、“when our generation says ‘everyone,’ we mean everyone in the world”(私たちの世代がいう「全員」とは、世界の全ての人のことだ)と述べ、フェイスブック世代の同胞意識が、国家や宗教、人種を超え、世界を視野に入れていることを強調した。

“The forces of freedom, openness and global community against the forces of authoritarianism, isolationism and nationalism. Forces for the flow of knowledge, trade and immigration against those who would slow them down. This is not a battle of nations, it’s a battle of ideas. There are people in every country for global connection and good people against it.”(自由、開放性、そしてグローバルな共同体を推進する勢力に対し、権威主義、孤立主義、そしてナショナリズムを推進する勢力。知識の流れ、通商、人々の移動を推進する勢力とそれを減速させようとする勢力。これは国家間の争いではなく、理念の争いだ。どの国にもグローバルにつながることを求める人と、それに抗する人がいる)

ザッカーバーグ氏は今、全米を周り、普通の米国人との対話を進めている。先日は、大統領選挙がキックオフされる州であるアイオワを訪れた。そのことを深読みした人が少なくなかったようだ。

* * *Speech

中山俊宏(なかやま・としひろ)

慶応義塾大学教授。日本国際問題研究所客員研究員。現代アメリカ政治・外交が専門。著書に「介入するアメリカ」(勁草書房)など。Speech

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