Navigation

「私の英語勉強法」/岡本美鈴さん(フリーダイバー)

The Japan News

「フリーダイビングと同じで、英語はやればやっただけ伸びて自分に返ってくる」と話す岡本美鈴さん

The Japan News「大好きなこと」を通して学ぶ

ボンベなどの器材は使わず、一呼吸で海に潜れる深度やプールで潜れる距離を競うフリーダイビング。深度を競う種目で日本記録を塗り替えたことがある岡本美鈴さんは、バハマで昨年開かれた世界大会で94㍍潜り、自己ベストを更新。さらに上を目指すには、日々新しくなる世界のダイビング技術を習得し続ける必要があるが、そのためにも英語力は欠かせない、というのが持論だ。

* * *

Speech

The Japan News「英語アレルギー」との決別

かなづちだったが、野生イルカと泳ぎたい一心から、30歳でフリーダイビングの世界に入った。英語も苦手で、最初は「英語アレルギーだった」。フリーダイビングを始めてまだ2年しかたっていなかった2005年、スイスで開かれたプール種目の世界大会に初めて出場したが、場内アナウンスも、選手同士の会話も全てが英語で「ちんぷんかんぷんだった」。危機感が募り、帰国後、英語の参考書を購入したが、「勉強の仕方が分からず、最後まで読まなかったし、付録のCDも全部聞かなかった」。机上の勉強はあきらめ、英語は実地で習得しようと思った。

世界大会は毎年2、3回開かれる。大会期間は2週間。選手はコンディションを整えるため、2週間前に現地入りするのが通例だ。勢い、最低1か月は現地に滞在する。その間、潜る海の状態について選手間で情報を交換したり、食事を共にしたりする機会が多い。たどたどしい英語で各国選手と交流し続けているうちに「フリーダイビングを好きな気持ちに国境はない」と気づき、英語が苦手だという意識は薄れていった。

今は亡き、ロシアのナタリア・モルチャノワ選手との出会いが忘れられない。2013年時点で深度101㍍の世界記録を保持していたモルチャノワ選手は、50歳を過ぎても競技を続け、世界のフリーダイバーの憧れの的だった。会った当時、51歳だったモルチャノワ選手は、90㍍以上潜った後でも海で泳いだり、陸を歩き回ったり、常に体を動かしていた。自分はと言えば、1回のダイブでくたくたになっていた。夕食を共にした時に “Look at me. I am over fifty. You can do anything”(私を見て。もう50過ぎてるのよ。あなたになら何でもできるわ)と諭された。

世界大会で初優勝を飾ることができたのは2年後の2015年だったが、モルチャノワ選手はその前年、ダイビング中に行方不明となったままだった。金メダルを獲得してから、彼女のように100㍍の深度まで潜り、海洋種目の安全のために貢献することが自分の使命だと思うようになった。

高く感じた「壁」

競技生活は今年15年目を迎え、フリーダイビングインストラクターとしては6年目になる。2年前、インストラクターの資格認定団体「アプネア・アカデミー・アジア」の理事に就任し、後進の育成にも携わるようになった。公認インストラクターになるには、本部のあるイタリアで、アカデミーの創設者ウンベルト・ペリッツァーリ氏が直接行う認定試験に合格しなければならない。ペリッツァーリ氏は、映画「グラン・ブルー」のモデルとなったジャック・マイヨールの愛弟子とされる人だ。マルタで2016年に行われた認定試験には、指導スタッフ8人のうちの1人として参加し、各国から集まった候補生40人の実技指導を任された。

「英語の壁」が高く感じられたのは、その時が初めてだった。外国人とのコミュニケーションはそれまでどうにかなっていた。しかし、ペリッツァーリ氏が見ている前で実演がうまくいかなかった候補生には、助言を与えたいと思いながら、何も話しかけることができなかった。落ち込んでいる候補生の背中を見ていて、もどかしかった。

インストラクターに合格して4年がたっていたが、その間、フリーダイビングの技術や訓練方法はかなり進化した。この世界で頂点に立つペリッツァーリ氏の講義や助言を聞き漏らさず、日本に持ち帰る必要を強く感じたが、それも十分できなかった。

教本を原書で読む

帰国後、語学留学をすることにした。2週間と短期間だったが、自分に合った勉強法を見つけることができた。「とにかく声に出す」というものだ。再生音声の速度を調節できるヘッドホンステレオを使い、聞き取れない英語は速度を落として聞き直し、聞いた通りに発音するよう心がけた。

フリーダイビングの教本を英語で読むという、実用的な勉強も始めた。「大好きなフリーダイビングに関することなら、英語が苦にならない。わくわくして読み進められる。好きなことを通して学ぶことが大事」

ペリッツァーリ氏の教えでもあるフリーダイビングの極意は Control yourself and dive elegantly.(自身を制御し、エレガントに潜ること)というものだ。そのために必要なのは Relax and see yourself when you dive.(潜るときは力を抜き、自分自身を見つめること)。「フリーダイバーとしてさらに深みを目指したい。そのためにも英語を磨いて、世界のフリーダイバーたちから様々な技術を学びたい」

国内ではまだマイナーなスポーツと見なされているフリーダイビングだが、今年に入って、教え子が「インストラクターになりたい」と志願してきた。この世界で指導者を目指そうという若者が自分のもとから羽ばたこうとしていることに大きな喜びを感じるし、彼らのためにも、フリーダイビングを一層広めたい。You can do anything というモルチャノワ選手の言葉が、今も背中を押してくれている。

(中村みほ)Speech

The Japan News* * *

おかもと・みすず 1973年、東京都大田区生まれ。93年、千葉経済短大卒。2003年にフリーダイビングを始め、15年には、バハマで開かれた世界大会で金メダルを獲得。アプネア・アカデミー・アジア理事。著書に「平常心のレッスン。」(旬報社)など。Speech

Click to play

0:00/-:--

+ -

Generating speech. Please wait...

Become a Premium Member to use this service.

Become a Premium Member to use this service.

Offline error: please try again.